落葉状天疱瘡

天疱瘡は通常、前ぶれなく、健康な皮膚にいろいろな大きさの水泡ができる病気です。

落葉状天疱瘡では、小さな水泡がかさぶたとなり、鱗屑を繰り返します。

水泡が表皮に近いため破れやすく、かさぶたになりそれが「木の葉」の様に見えることで、「落葉状天疱瘡」と呼ばれています

(原因)

本来はウイルスや、ばい菌と闘うために私たちの体のなかにある蛋白質である免疫グロブリンの一部が、自分の皮膚と闘いだすために皮膚が傷んでしまいます。

落葉状天疱瘡では、皮膚の表皮に近い部分、デスモグレイン1」を攻撃することで、何の異常もない健康な肌に水泡が出来、かさぶたになります。

(診断法)

  • 血液検査 (デスモグレイン1<14)
  • 皮膚生検

 

(治療法)

  • 基本はステロイド薬・プレドニンやリンデロンの内服。
  • ステロイド内服で十分な効果が得られない場合などは、免疫抑制剤を使用する。
  • 軽症の場合は、外用ステロイドで対応することも可能。
  • 落葉状の場合は、レクチゾールが効く場合もある(肝機能に影響が出る率も高いとよく耳にします)。
  • 類天疱瘡の治療と同じく、ミノマイシン(テトラサイクリン系統の抗生剤)とニコチン酸アミドを同時に服用することで効果が得られることもある。
  • 血清浄化療法(けっせいじょうかりょうほう)や免疫グロブリン大量療法も有効 ※免疫グロブリン大量投与は一時凌ぎ、という話もよく耳にします。

★自己抗体値と皮膚症状が一致しないことも多く、同じ自己抗体値であっても、患者によって症状が違う。★

 

 

ー体験談 1ー

治りが悪い湿疹、かさぶたがカラダのどこかに常にある状態が数年続き、外用ステロイドのランクを上げながら対応していた。

ある時、顔に「蝶形紅斑」様の湿疹が出た。

膠原病を疑い、内科で念のため

  • 「糖尿病」(湿疹が治りにくい場合、糖尿病の場合もある)
  • 膠原病
  • バセドウ病

の血液検査を受けるも、いずれも陰性。

治りの悪い湿疹が常にあるということで考えられるのは「天疱瘡」。否定するためにも大学病院で皮膚生検を受けるのも良いかもしれないと提案される。同時期に受けた大学病院での健康診断時に、一か所糜爛になっていた湿疹が「固定薬疹」の様にも見えるので、大学病院での皮膚科受診を勧められ、受診。

血液検査と皮膚生検を経て、「落葉状天疱瘡」と判明。足かけ数年かかって病名が分かった。